市民ランナー教員の『一歩一歩』

市民ランナー教員の『一歩一歩』

長距離をひた走る小学校教員のロードを振り返る

MGCから考えたこと

日曜日のMGC。今まで見たレースの中では一番、タフで凄まじいレースだった。

設楽の大逃げも、中村の2段階スパートも、大迫が見せた我武者羅も、どれも永久保存版だ。

 

ここで気になっていることがある。

それは「勝負強さ」である。

 

今回の中村の走りは、レース巧者が見せるような勝負所を抑えた、「王者」走りだったように思う。大学時代から1区のスペシャリストとして、今回のようなロングスパートで他大学を幾度となく苦しめていた。しかし、彼はマラソンでの優勝経験はなかった。

 

2位に入った服部勇馬。耐えに耐え、粘りに粘った末の勝利ともいえる。彼には、福岡国際マラソンでの優勝経験があった。

 

4強の一角と目された、井上。彼の前評判は非常に高かった。10キロ過ぎ、帽子を脱ぎ捨てた場面。きっと何かがうまくいかずに、イライラが募っていたように見えた。しかし、彼にはアジア大会での優勝経験があった。

 

設楽悠太。序盤からの大逃げ。あの積極性や自分のスタイルの貫き方は高く評価されていい。彼にはゴールドコーストラソンでの優勝経験があった。

 

そして大迫傑。大本命と言われ、周囲からのプレッシャーも期待も飛びぬけていた。しかし、優勝経験がなかった。

 

いわゆる、「勝った」経験の有無。その有無だけで勝負が語られることは理不尽だろう。

勝った経験にこだわりすぎて負けることもある。

勝った経験を貫いて勝つこともある。

勝ちパターンがあれば、それは強いだろうし、安心できる。

 

ただ、マラソンも教室も、相手がいて、環境や状況、プロセスが日々変わる。天気もバイオリズムも、テンションも空気も、日々変わる。

 

その変化に気づき、視点を変えて解決策や対応策を考えること。傍観者でなく、当事者としてその変化に対して「やる」人が勝負強いのではないか。

 

教室に優勝はないかもしれない。ただ、「対応できた」・「解決できた」という小さな成功体験が自律神経の安定を生む。

 

小さな成功体験の繰り返しが、体の中の制御システムを自分のコントロール下におくことになる。そして、生理的な力が安定していく。

 

ラソンも、教室も、そんな小さな成功体験の繰り返しだと思う。

 

その繰り返しを結果が出るまで、続けることなのだと思う。