市民ランナー教員の『一歩一歩』

市民ランナー教員の『一歩一歩』

長距離をひた走る小学校教員のロードを振り返る

スタート

 今日からブログを始める。

 

 いつも刺激をもらっている後輩が始め、それに影響されたから。

 

 なんとなく、軽い気持ちで。

 

 一日一日、一歩一歩。

 

 「僕はこの冬に世界のどこかでまたフル・マラソンレースを一つ走ることになるだろう。そして来年の夏にはまたどこかでトライアスロン・レースに挑んでいることになるだろう。そのようにして季節が廻り、年が移っていく。

 僕は一つ年を取り、おそらくは小説をひとつ書き上げていく。とにかく目の前にある課題を手に取り、力を尽くしてそれらをひとつひとつこなしていく。一歩一歩のストライドに意識を集中する。

 しかしそうしながら同時に、なるべく長いレンジでものを考え、なるべく遠くの風景を見るように心がける。なんといっても僕は長距離ランナーなのだ。個々のタイムも順位も、見かけも、人がどのように評価するかも、すべてあくまで副次的なことでしかない。

 僕のようなランナーにとってまず重要なことは、ひとつひとつのゴールを自分の脚で確実に走り抜けていくことだ。尽くすべき力は尽くした。耐えるべきは耐えたと、自分なりに納得することである。そこにある失敗や喜びから、具体的な―どんなに些細なことでもいいから、なるたけ具体的な―教訓を学び取っていくことである。

 そして時間をかけ歳月をかえ、そのようなレースをひとつずつ積み上げていって、最終的にどこか得心のいく場所に到達することである。あるいは、たとえわずかでもそれらしき場所に近接することだ。」


             『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹